
〝われわれは年に一度この舞囃子の舞台というものがあって、そのストレスで胃に穴があくような思いを一年中している(ストレスが消えるのが本番のあとの一週間ほどだけである)。そのストレスがあまりに苦しいので、その他のストレスフルな出来事がどれも「舞囃子の苦しみに比べたら、屁のカッパ」に思えてしまうのである。〟
(内田樹著 『邪悪なものの鎮め方』〝失敗の効用〟より)
このお話を読んで思わず吹きだしたかたも多いと思います。
これからお稽古を…と思っているかた、どうぞひかないで読んで下さいね。
「中入りブログ」 はお稽古の楽しさについてお伝えしようとしているブログなのです。
この本の著者、内田樹(うちだ たつる)先生は 能楽師ではなく大学の先生です。
高橋奈王子先生のご主人さまでもあります。
書店でも、〝内田樹コーナー〟がドン!と置かれ、ひっきりなしに色々なメディアに登場しておられるので、稽古のお仲間にも 「内田さん とは?」 とよく聞かれます。が、幅広いプロフィールを 「説明が長くなっても・・」 などと考えつつ喋っているうちに結局〝しどろもどろ〟になります。
・・ということで、すみません。詳しくお知りになりたいかたは 『内田樹』 で検索してみてください。
『内田センセイ』 は、謡と舞を長く習っておいでです。
本業を公演や原稿依頼の電話とメールで寸断され、スキー(合宿)中にすら原稿が追いかけてきてキーボードを叩かされているスーパー(オジサマ) です。(⌒o⌒)
その先生をして
〝これに比べたら、講演や学会発表とかピクニックみたい〟
に思える、その恐るべき舞台とは・・?
『社中会』 と呼ばれる素人会です。
私たち松月会(小鼓) の社中会は2年に一度あります。
芸事の稽古にはこれを読めばできる、というマニュアルがありませんね。
〝通信教育の小鼓おけいこ〟 などは聞いたことがありません。
習い直され、努力を繰り返しているうちに体がそれを覚えていきます。
つまり続けていれば、いつの間にかちょっとずつできるようになっていく、という性質のものなのです。
プロの能楽師のかたは、
芸において、とりあえずの完成形は当然で〝より早くより高みに昇っていかなければいけないから〟たゆまない努力が義務として課せられます。
ひきかえ私たち素人として出る舞台は、
〝合格ラインはすべて自分の中〟にあって、舞台へのプレッシャーはプロのそれとは大きさではなく「質」が違うということになります。
ただ、稽古をよくしなければ舞台はできないということは同じです。
あとで自分の中の自分が 「よく頑張ったね、じゃ次にいこうか」 とか 「サボっているからだ!次はがんばりなさい」 と言うからです。
耳をふさげないぶん、このタイプの批評はズシリとこたえます。
(内田先生も言っておられますが、素人の場合は舞台で何をやらかしても師匠はニッコリ微笑まれるのです)
ともあれ舞台は、お稽古をしている上でのいろいろな楽しみかたの 「ひとつ」 です。
あることができた瞬間、先生の 「ほらね」 という声が聞こえる (ような気がする)。
そんな師弟の会話を交わしているうちに 気がつけば何年も経っているのです。
石の上にも三年。
小鼓を鳴らしてみたいな~と思ったら、まず始めることと 少し続けてみること・・が必要です。
さて、先ほど引用させていただいた 『邪悪なものの鎮め方』。この本は、お稽古に関する本ではございません。が、〝失敗の効用〟という章では 「素人がお稽古をすることの目的」 に触れて面白い考察を書かれています。
ちなみにこの本、オバケも悪魔くんも出てきません。下にamazonのレビューを載せておきますね。
〝神戸稽古場の発信〟でいろいろお届けしておりました松月会IN神戸は、この春〝松月会 運営のサイト〟として生まれ変わる予定です。ただいまその企画でワイワイやっております。
(ずいぶんこのブログをサボっていた言い訳にもなりませんのですが。)
新サイトでも、先生や幹事のかた、先輩がたのお手伝いをしながら
小鼓の、そしてそのお稽古の魅力や楽しさを お届けしていきたいと思います。
どうぞお楽しみに (⌒o⌒)
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邪悪なものの鎮め方 (木星叢書)
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